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暑さに溺れて部屋の窓を開けるとそこにはとても大きな蝉がベランダに留まっていた。
それはそれは立派な蝉で…。
いやいや、私には蝉のことはよくは分からないがとても大きく、凛々しささえ感じてしまうほどだったのだ。
目が合う…。
先ほども言ったが私には蝉が分からないため目が合っているのか分からないが、じっとこちらを見つめているようなそんな気はしていた。
上司を思い出す。
彼もこんな感じで威圧的な眼差しを向けて、言葉よりももっと強い意志を表現してくるのだ。
仕事が出来ない人ほどこういう視線には敏感だ。
私の弱い部分だな…。
いやいやそうではないだろ、と私は私を一喝して目の前の蝉と向き合った。
くわえてたタバコは火をつける前だったので無理やりにタバコの箱に戻した。
敵なのか、ただの蝉なのか分からないがとにかく大きな大きな蝉だった。
月光が私と蝉を照らしてそれはそれは奇妙奇天烈。
蝉越しに見えた月は満月で満月の夜というのは不思議なことが起こる夏の夜なのかもしれない。
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