夜の密会

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 そんな事で、この屋敷だ。宿舎から小さな馬車に乗せられ、当然窓には黒く厚いカーテンがあり外が見えない状態にされて連れてこられた。 「悪かったな、強引で」 「いいえ。あの、ここでならお会いする方について聞いてもいいのでしょうか?」  ここまで来たならどうせ会うのだから構わないだろう。そう思ったが、蝋燭に照らし出された人は苦笑するばかりだった。 「奥の扉を開ければ分かる事だから、待ってくれ。俺も口止めされているんだ」  この人に口止めするような相手とは、誰なんだろう。ますます疑問が募ってくる。そうしている間にも二人は奥の扉の前に立っていた。  クラウルが扉を開ける。  室内は柔らかなランプの明かりが照らす部屋だった。応接室なのか、大きめのソファーセットに暖炉、分厚いカーテンがかかっている。  そのソファーの一つに男が座っていた。  柔らかな輝きのあるアイスブロンドが顎の辺りで揺れている。向けられる新緑の瞳は柔らかく穏やかな笑みが見えた。静かで穏やかな顔立ちは整っていて、どこか逆らえない迫力もある。     
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