432人が本棚に入れています
本棚に追加
脱力しつつ、胸の奥に沸く怒りの熱さに打ち震える。なんて恥をさらしているんだ、あの人は!
「ファウストがお前を気に入っているのは間違いないだろ」
「クラウル様まで!」
「明らかに今までとお前は違う。そこは誰の目から見ても明白なんだ、認めろ」
とは言われても、そう簡単な事ではないし疑わしい。確かに他より少し親しいだろう。だがそれは、微妙にずれている。
多分、手のかかる弟が増えた感じじゃないだろうかと思うのだ。昔から言うだろ「できの悪い子ほど可愛い」と。
「部下として大変に目を掛けていただいております」
「そうなのかい? ふふっ、そういうことにしておくよ」
実に楽しそうに笑う人は、きっと信じていないだろう。
「実際に会ってみて良かった。皆の話によく上がるランバートに興味があったんだ」
「俺の名がよく上がるのですか?」
「それはね。シウスやオスカルばかりではなく、こいつの口からも上がるんだ。興味がわくだろ?」
何を言われているかが気になる。隣にいるクラウルを見るが、そっぽを向かれた。
「悪い事じゃないよ。仕事が出来て優秀だとか、とても強いとか」
「身に余る光栄です。多少、過大評価かと思います」
「後はとにかく、ファウストが気に入っているとね」
「それはオスカル様からでしょうか?」
最初のコメントを投稿しよう!