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夜の密会
招かれた屋敷は古いもので、ともすれば幽霊でも出そうなものだった。普段は使っていないと物語るように、ドアが軋んで開く。
一歩先を行くクラウルが持つ燭台の明かりだけを見ながら、ランバートは廊下を見回した。
毛足の長い絨毯に汚れはない。天井にも蜘蛛の巣などはない。調度品も歴史を感じるが磨かれている。察するに、掃除はされているが人は住んでいない。そういう場所なのだろう。
なぜランバートが見知らぬ屋敷に、しかもクラウルに招かれてきているか。それは昨夜の事だった。
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