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 まだ、想いが残っていることを、誠に知られてはいけない。大輝は、ひと月もしないうちにどうせまたいなくなってしまうのだ。 「誠、今夜の約束……」  私はそっと、誠の袖を握った。 「仕方ないよな。落ち着かないし」 「違うの……また、ひと月伸びるのはいやなの」  誠は私の顔をじっとみた後で頷いた。  大輝の寝る部屋と私たちの寝室の間にはリビングがある。音は届かない気がした。  大輝が上がってくる前に、部屋の布団乾燥機を片付けることにした。和室に入り、掛け布団の下にそっと手を入れる。湯船に手をつけたように心地よい。すっかり空気の抜けた袋を抜き取りながら、現実であるはずなのに、夢を見ている気がして一度部屋を見回した。間違いなく、誠と暮らしている家の中だった。片付けがおわり、和室を出たところで、ちょうど、脱衣所から出てきた大輝と鉢合わせた。  大輝は髪を拭きながら「お先」と言った。 「布団……用意できてるから」 「いろいろ、ありがとう」  私は「誠を呼んでくる」と言い残して、リビングに急いだ。
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