14/26
前へ
/66ページ
次へ
 誠に支えられリビングに入った。大輝が二人がけのソファに座っている。うなだれて、顔を手で覆っている。  誠がダイニングの椅子を二つ取ってきて、ローテーブルの脇に並べた。大輝から遠い方に座る。 「大輝、なんか飲むか?」  大輝は、黙って頭を横に振った。誠が、放っておけなかったと言ったが、確かに、様子がおかしい。 「電話じゃ、詳しく訊けなかったけど、何があったんだ?」  大輝が顔をあげた。眉根を寄せ、目も充血している。喉仏が大きく上下した。 「命を、狙われている……しばらく匿って欲しい」  私は口元を手で隠し、息をのんだ。  大輝は怯えきっていて、手が、かすかに震えていた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2059人が本棚に入れています
本棚に追加