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 誠が戻ってきた。後ろめたくて、大輝から視線を外す。 「先に、食べるか……」 「並べるだけだから」  私はキッチンへ向かう。誠が椅子をダイニングに戻した。  温め直して皿によそう。キッチンスペースから出て、リビングダイニングに目をやる。大輝は、ソファに座って、ぼんやり窓の外を眺めている。  誠が皿を取りにきた。 「僕が運ぶよ」  任せることにした。  すぐに食卓に並んだ。誠が大輝に声をかける。  いつもより人数が多いにもかかわらず、より、静かだった。 「荷物は、何もないように見えるけど……」  誠が大輝に訊ねた。 「感づかれないように、ふらりと出かけるふりをしたからな」 「僕の服では、大輝には小さいな」  身長差が十センチほどある。鍛え上げているから、胸板も厚い。
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