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「明日は、大輝の好きな物を作ってやってよ」
私は、頷いた。
「とにかく、行ってくる」
誠を送り出した。大輝と二人になってしまった。気まずいので、リビングからとにかく出ることにした。
「布団を用意してくるね」
普段使っていない六畳の和室に寝床を用意することにした。母が来たときに買った寝具がある。念のために、布団乾燥機を使うことにした。
白いシーツをかけながらふと、大輝の演じたベッドシーンを思い出した。
私生活でもきっと、大輝はたくさんの経験をしてきたにちがいない。
もし、あの時に約束通り来てくれていたとしても、きっと終わっていた。だけど、もう少し違う終わり方をしていれば、私は、誠に迷惑をかけることもなく、普通の生活を送れていたかもしれない。
正直、どうすればいいのかわからなかった。
誠が、大輝を匿いたいと言うから、受け入れた。
私も、もちろん、大輝に無事でいてほしい。
それでも、しばらくの間、大輝と同じ空間で過ごすのは、不安でしかたない。
私は、想いを、抑えられる自信がなかった。
どうにもならないこともわかっている。
決して許されないことも、わかっている。
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