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 体が温まらないうちにあがった。髪を乾かして、廊下に出る。  バスルームの正面に、大輝のいる客間はあった。私は、すぐに目をそらし、誠の待つ寝室へ向かう。  いつもそうだ。誠は、ベッドの端に腰掛けて、私がお風呂から上がってくるのを待っている。  私は、今身につけたばかりの部屋着を自ら脱いでいく。誠に手をひかれてベッドにあがる。誠は途中までは服を脱がない。  誠がリモコンで部屋の明かりを落とした。  背中にあたったシーツが冷たかった。誠が私を包むようにして重なる。 「綾音、さっき、また、泣いてた?」 「さっき?」 「僕が風呂に入っている間」  涙は流さなかった。鼻でも赤くなっていたんだろうか。私は小さく顔を横に振る。 「なら、いいけど」  頷いて、目を閉じる。  誠は優しい。そっとそっと私を抱く。
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