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別に気怠いわけでもなく、終わった後はそのまま寝ることにしている。なんとなく、起き上がらない方が受精しやすい気がするからだ。誠が、寝たまま服を着る私を手伝ってくれる。
それから誠は必ず、もう一度体を洗う。誠が戻るまでに眠ってしまうことも多い。何をそんなに落としたいのかと、問いはしない。私たちは、三年もこうしてきた。子供ができればきっと、良い方に転がる。
とにかく寝ようと思った。目を閉じるとすぐに、私の名字を間違えた後の大輝の顔が浮かんだ。
私は慌てて起き上がった。ティッシュ箱に手を伸ばし何枚も引き出した。
立ち上がり下着まで下ろす。少し足を開いただけで、伝い落ち始める。重ねたティッシュをあてがう。
それだけでは不安で、ベッドに片足をあげ、指をいれた。
本当は洗い流したかった。誠に知られてはいけない。だけど、そのままにもできなかった。
掻き出せたのかわからない。
手の中のティッシュをみる。白い粘液が放つニオイに堪えられず息を止める。
明日、誠が仕事に出た後で、処分しなければならない。私は、さらにティッシュを引き出し、重ねて手の中で握りつぶした。脱いだ物を再び身につけ、クローゼットの奥に背信行為の証拠を隠した。
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