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肩を押さえられ、打ち付けられる度に、鈍い痛みがあった。痛みなのに、もっと欲しい。
この欲望の正体はなんなのだろう。大輝が名前を呼んだ。何度も「綾音」と、呼ぶ。肌がぶつかる音が響く。太ももに大輝の指が食いこんだ。香水の奥に、懐かしい大輝の汗の匂いをみつけた。
「綾音、いい」
大輝が絞り出すようにいう。腰の動きが速くなる。さっきよりも強く、奥まで突き立てられる。
痛みが強くなる。それなのに、このまま壊れてしまってもいいと思った。
「もう、いく」
大輝は、何度か「いく」と言ったあと、「ああ」と、感嘆の声を漏らした。 中で、脈打っているのがわかる。
「すげ、搾り取られる」
大輝が、汗で濡れた額を私の胸元に押しつけてきた。肩で息をしている。
「次は、体位変えるか」
私は、限界を感じていた。体に自由がきかない。ただ、受け入れていただけだというのに、全身から力が奪われていた。
されるがままにうつ伏せになる。腰を引き上げられた。
ゆっくり、ゆっくりと入ってくる。ジワジワと満たされていく。奥に到達した後、さらに、ぐっと押し込まれた。それから、ゆっくりと抜かれる。出て行ってしまうかと思ったら、また、戻される。すべておさめてから、わたしの尻に、腰をこすりつける。その後で、いきなり、抜かれた。
強い快感が走って、だだを捏ねる子供のような声が出た。
また、入ってくる。今度は、一定のリズムで出し入れされる。
後ろから突かれ、シーツに顔をこすりつけながら、あり得ないほどに、私は感じていた。
何も考えられないくらいに、誰に、されているのかもわからないくらいに。
大輝が私の中で果て解放された後も、しばらくそのまま転がっていた。
私は、現実ではない場所を浮遊している気がしていた。
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