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誠を送り出し軽く掃除をしていると、インターホンが鳴った。モニターを確認すると宅配業者だった。すぐに、大輝が何かを頼むと言っていたことを思い出した。応答して、オートロックを解錠する。
数分ほどで、またインターホンがなった。玄関ドアの向こうに人の気配を感じる。私はすぐに返事をしてドアを開けた。
大きめの箱だったが、重さはそれほどでもなかった。
すぐ渡した方が良いか迷ったが、大輝はまだ寝ているようだ。リビングのテーブルの上に置いておけば、出てきたときに気づくだろう。
私は、掃除の続きをすることにした。
廊下は、大輝が起きてから掃除機をかける。それほど経たずにだいたいのことが終わってしまった。
大輝はいつ起きてくるかわからない。朝食は一応は用意してあった。おかずを温めトーストを焼くだけで良い。
大輝が起きてくればそのうちに、また部屋に呼ばれる。
明日は、誠が休みだ。大輝はどうするつもりでいるのだろう。毎日する必要があると言っていたけれど、実際は、一日二日ほどはなんとかなるのかもしれない。
十一時すぎて、やっと大輝は起きてきた。
朝食を食べるかを訊ねると「もらう。ありがとう」と、返ってきた。わたしが、キッチンで料理を温め直しているうちに、大輝は顔を洗ってリビングに戻ってきた。
「荷物、届いたんだ」
大輝が、リビングから大きめの声で話しかけてきた。
「今朝、早くに届いたよ」
食事の準備をすすめながら返した。
「起こしてくれれば良かったのに」
そんなに楽しみにしているとは思わなかった。トーストも焼き上がり、皿に移した。トレーに載せて、運ぶ。ダイニングテーブルに皿を並べて、大輝に声をかけた。
「綾音は、食べないんだ」
席についてすぐに訊かれた。
「先にすませてあるから」
「昼食は?」
「もう少ししたら軽くとるかも」
「今、食べといた方がいい」
大輝が意味ありげな微笑みを浮かべた。急に不安にかられる。
「届いた物を試したいから、この後すぐに始める。それに、長くなる」
何を買ったのだろう。ソファーの近くにある箱に視線を向ける。
「誠は使いそうもないから、未体験だろう? アダルトグッズ」
私は驚いて大輝をみた。
「いろいろ買ってあるから、あとでひとつひとつ試してみよう」
道具まで使われると思うと、かるくめまいを起こした。
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