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誠が仕事に出たあと、一通りの家事をこなす。テレビは騒がしくてあまり好きではない。以前は一人の時間を使い、アクセサリーをつくっていた。樹皮を使うこともフェルトを使うこともあった。たまってくると、娘さんのいる誠の同僚に配ってもらった。
最近は、大輝の画像や動画をみて過ごすことが多い。もう、やめようと思っているのに、気がつくと、パソコンの前に座っていた。
はやく子供が欲しい。子供さえいれば、暇を持て余して、大輝を追い続けることもなくなる。
私は、ノートパソコンのキーボードを見詰める。もう一度、昨日と同じ映画をみれば、夢で大輝に会えるだろうか。
検索サイトを開いて『菅原大輝』と打ち込む。スペースのあと『ラブシーン』と追加した。
自分でも何をしているのかわからない。
相手役の女優に勝手に自分を重ねて妄想を膨らませたいのか。
それとも、もう、私のものではないと思い知りたいのか。
誠に知られたら、なんと言われるだろう。
本当に、やめなければ……。
そう思いながら、私は、画面中央にある再生ボタンをクリックした。
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