第一話 魔界の光

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「忠告した筈だが…残念だ。君は、決して侵してはいけない領域に踏み込んでしまったんだよ。生まれ変わったら、今度こそこの境界線を越えないでくれよ」  そう言って彼に銃口を向けたのは、その瞬間まで親友だと思っていた男だった。 「せめてもの情けだ。せっかくの綺麗な顔が勿体ない。頭は辞めてやる。そして苦しまないように逝かせてやる」  彼の胸に向けられた銃口と、男がかけている銀縁の眼鏡が、冷たく鈍い光を放つ…。 「丈二(じょうじ)、私を裏切るのか?いつから……」  彼は両手を背中側に縛られ、床に座らされ、ベッドの足に腰を縄で縛りつけられていた。彼は辛うじて目の前の男にそう問いかける。 バァーーーーンッ 「それは、地獄で閻魔様にでも聞くんだな。或いは、天国か?」  丈二と呼ばれた男は、硝煙を上げる銃口に軽くフッと息をかけると、頭をガックリと垂れ、骸と化した彼に向って冷たくそう言い切った。
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