第1章

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『当たり前だ。だからここに呼んだんだ』 そりゃそうかもしれないけど…… 下っぱ中の下っぱの扱いばかり受けてきた私を呼んだところで、ゴミ集めに呼ばれたのとしか思えない気持ちも分かって欲しい。 「私なんかでいいんですか?」 『社内業務はそろそろ慣れてきただろう?外に出て仕事をすることを覚えるのも、また仕事だ。 それじゃあ頼んだよ、高城』 『承知しました』 高城さんが編集長に頭を下げると編集長は立ち上がり何処かへ行ってしまった。 『芹沢、今週末にはちゃんと準備整えておけよ。6時に空港集合だ、分かったな?』 いまいち理解できていない私に指示を出すように高城さんが言った。 6時か。 夕方なら仕事終わりで一緒に行けばいいのに…… 一緒に出歩きたくないって事なのかな? 「分かりました。じゃあ仕事終了後それぞれで空港集合すればいいですね?」 念のため確認するように聞き返すと高城さんは冷ややかな目で私を見て溜め息を吐く。 『ばーか。朝の6時だよ』 そう言い残して高城さんは仕事へと戻っていった。 「えっ……えぇー!?朝の6時!?」 驚きの余り大きな声で叫ぶように聞き返したつもりだが、高城さんは反応することなく行ってしまった。
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