プロローグ

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母さんは父さんの帰りを待ちながら、俺にある話をしてくれた。 『未来の書って知ってる?』 『ミライのしょってなに?』 『そうね……例えば、いつパパが帰ってくるのか書かれている本の事よ』 『えっ!パパがかえってくるジカンがわかるの!?』 『そうよ』 『なんじにかえってくるの!?』 『残念だけど、それは書かれてないからわからないわ』 『えーっ、だってジカンがわかるって…』 『例え話よ。……さっき言ったみたいに、未来に何が起こるか書かれているのよ』 『へー……、でも、なんでパパのことはかいてないの?』 『それは、書かなくてもいいことだからよ』 『なにそれ。イミわかんないよ』 『遥希も大きくなったらわかる刻が来るわ…』 『??……よくわかんないケドわかった! それで、そのミライのしょにはなにがかかれてあるの?』 『……貴方の事が書かれていたわ』 『えっ、ボク!?ど、どんなこと!?』 『血の制約って言っても、遥希にはまだわからないわよね…?』 『うんっ!わかんない!だからおしえて?』 『あらゆる自由を奪われる事よ』 『??』 『わかりやすく言うと、遥希の好きな食べ物が食べれなくなって、嫌いな食べ物しか食べれなくなったりする事よ』 『えーイヤだー』 『それでも食べなきゃいけなくなるのよ。死ぬのは嫌でしょ?』 『えっ、たべなきゃしんじゃうの?だったらたべる!』 『遥希は偉いわね。嫌いな食べ物を我慢して食べるなんて』 『だってしんじゃうんでしょ?ならガマンする!』 そう言うと、母さんは俺の頭を優しく撫でてくれた。 『でね……ママ、貴方と長く一緒にいられないみたいなの』 頭を撫で続けながら言う母さんの顔は、どこか悲しげだった。 『なんで?』 『ほら、遥希だって大人になるでしょ?そうしたらずっと一緒には居られなくなるでしょ?だから』 『あ、そうか。そうだね、オトナになればそうなるんだね』 『だからね……今から話す事を覚えておいてほしいの』 そう話ながらも徐々に表情が暗くなっていく母さん。 『ママ?どうしたの?』 『遥希。大事な話があるの』
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