※ 恐ろしい時間

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顔が近い。 中年の恰幅の良い男は、脂ぎった顔をニタニタと崩していた。 この小さな獲物をどうしてやろうかと、心底愉しげだ。 密着してきた腹もたっぷりと脂肪をつけていて、男がいかに贅沢で偏った食生活を送っているかが判るというものだ。 ギシッとソファの悲鳴が聞こえる。 「よしよし。今からたっぷりと可愛がってやろうなぁ~」 鼻歌でも飛び出す勢いで男が言った。 口から放たれる口臭に、祐羽は思わず顔 を背ける。 そして祐羽は両手で男の胸を突っ張り返そうとした。 少しでも相手が隙を作ったら逃げ出すつもりだったが、もちろんそんな簡単に事は運ばなかった。 「や、ヤダッ!!」 男が祐羽の腕を掴みソファへと縫い付ける。 それから男が顔を祐羽の顔へと、ゆっくりと落としてきた。
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