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そんな覚悟は九条の告白を受け入れた時点でしていたはずだ。 けれど改めて言われるとドキッとしてしまうのは、自分がやっぱりまだ一般人としての意識しかないからだろうか。 僕、九条さんがヤクザだって知って理解して受け入れたはずなのに…。 この空間で自分だけがヤクザじゃない。 それなのに九条の隣に居る違和感。 だからといって自分がヤクザになれるかと聞かれると、それは否だ。 自分にはその壁を乗り越える事だけは絶対に無理だ。 ヤクザになりたいわけじゃないし、なる為に祐羽は九条の恋人になったのではない。 九条が好きで、好きになって貰ったから今、隣に居るだけだ。 でも、いいのかな…僕で…。 本当にいいのかな…。 何か出来るわけじゃないし、それこそ中瀬さんに色々教えて貰ったりしてるし。 そして今度からは柳さんにも付き添って貰う事になっちゃったし…。 どうすればいいだろうか。 この違和感を払拭するには…。 「月ヶ瀬くん、怖いことを言ってしまってすみません。けれど念には念を…という事ですので。社長や私が側に居ない場合は二人を必ず付けますから安心して下さい。もしも何かあれば遠慮なく中瀬でも柳でもいいので言って下さい対応させます」 「…っ、はい…!」 ぼんやりと自分の思考に徹していた祐羽は我に返る。 「どうぞ、いつでもおっしゃって下さい」 柳からも声を掛けられて、祐羽はふと思った。 そうだ。 何か九条さんの為に出来ることがないか見つければいいんだ! 何かひとつでも役立てる事があれば、ヤクザになれない自分でもこの空間に存在を許して貰えるのではないか。 きっと九条はそんなことを思ってもないし、求めてもいないだろう。 九条が求めていないことは、この旭狼会のメンバーも、だ。 これは自分の中で決めたこと。 自己満足かもしれないが、それで側に居る事を許して貰える気持ちになれるから…。 「ありがとうございます!でも、僕も迷惑かけないように気をつけますね」 祐羽は頷きながら、そう言った。
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