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呼ばれた男を見た祐羽は、ここでまた衝撃を受けた。
え…?
この人、ほんとにヤクザ?
紫藤は確かにヤクザらしくない感じを受ける色男だが、祐羽が今見ている男こそヤクザとはほど遠い存在と言えた。
「嘘…」
思わず口をついて出た。
その男は男といっていいのかどうか。
確かにスーツも着ているし男ではあるのだが、化粧さえしてしまえば女性と間違われてしまうのではないだろうか?
そんな綺麗な顔の造りをしていた。
その佇まいには、静かな湖を思わせる独特の雰囲気がある。
薄い茶色の柔らかそうな髪、白い肌。
アンバーの瞳が紫藤から祐羽へと向けられた。
祐羽はドキッと心臓を高鳴らせた。
「嘘?何がだ?」
「えっ?!い、いえ…っ」
祐羽の言葉を反芻した紫藤が訊いてくるが、それに上手く返せない。
律と呼ばれた男が綺麗で驚いたなんて、きっと今迄も何度も言われた事があるだろうし、もしかして本人は望んでない言葉かもしれない。
第一初対面で失礼だろう。
すると、紫藤が思い出したという様に声を上げた。
「あぁ、忘れとったな」
すると紫藤が男の腰を抱き寄せた。
男は困った顔で紫藤を見下ろしている。
「コイツは秘書の:外崎 律(とのさき りつ)。何かあれば俺かコイツに声かけてくれればいいからな」
ニッと笑う紫藤を軽く睨んで外崎が腰を逃がした。
紫藤がブーと口を尖らせて沈黙で抗議するが、イケメンが台無しだ…と祐羽は思った。
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