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 だって、他に褒めるべきところなどないから。  わたしのような、異形のものには……。 *  ばあやが、わたしの身体の水滴をそっと拭っていく。  ほんのわずかしかない胸のふくらみ、くびれの少ない腰。  ちいさな臀部。  そして、少年のように細いままの足を。  わたしは、すでに十六の誕生日を迎えていたが、十かそこいらの子供だと思われても不思議ではないような身体つきをしていた。  これ以上には、大人の女らしくはならないのだろう。  随分前に、そう諦めていた。  いいえ、そもそも。  わたしは「女」ですらない。  「姫さま」と、そう呼ばれているのは。  ただ。  ただ、わたしに、男の証がないからに過ぎないのだ。  わたしは呪いだ。  産まれた時から、呪われていた。  産まれるべきではなかった。  わたしを流させようと、城の者は、幾度もお母さまを説得したと聞く。  けれどお母さまは、それに耳をお貸しにならなかった。  そして、それをお母さまに無理強いすることは、誰にもできなかった。  王母たるお母さまには。  お兄さまのお母さまが亡くなってから、お父さまは後添えも妾もめとらなかった。   お父さまは、その御心のよりどころを、御自分のお母さまに求めたのだ。  わたしは、お父さまの娘で妹。     
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