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冬至 III 2
2
「……まだだ」
低い声が響く。
背後から、ペリペの尻に打ち付けられる王の腰の動きは、変わらず激しいままだ。
こすり上げられ刺激されれば、見る間に男陽が膨張し、迸しりが促される。男の内側には、そんな部分がある。
施される行為に対し、何をどう感じていようが、そんなものとはまるで無関係に。
そうやってペリペは、すでに幾度も吐精していた。
王の寝台の絹の敷布には、白液が大きな溜まりを作っている。
だが王自身は、まだ一度も欲を放つことなく、ペリペの中で抽送を繰り返していた。
常のごとく歯を食いしばり、両肩を微塵も動かすことなく、ペリペは両手両膝を寝台につき、王を受け止め続ける。
不意に、ペリペは「それ」の到来を察知した。
おそらく、それに訪なわれることになる王本人よりも先に。
そしてペリペを奥深くまで穿って、王の腰は動きを止める。
焼けつく熱液が、ペリペの腹の内に吐き出された。
*
欲を放ち終えたものをペリペから抜き取ると、王は精で汚れきった敷布の上に身体を投げ出した。
そして、長い金の睫毛をぴたりと閉じあわせ、かすかな寝息を立て始める。
その寝顔はペリペに、二度と思い出したくない、ある顔を思い出させた。
忘れさりたいのに、決して忘れることのできぬ顔を。
何かが壊れてしまいそうだった。
自分が王が、すべてが、壊れてしまいそうだった。
ひとつ頭を大きく振り、ペリペは心と身体に巣食うあらゆる苦痛を払いのける。
そして、気高さの象徴であるかのように美しい王のくちびるへと、口づけを落とした。
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