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冬至 III 3
3
追い詰めるような真似だけはするまい、と。
そう思っていたのだ。
孤高の金狼を待ち伏せし、罠に追い込むような、そんな汚い真似だけは。
しかし、ペリペは不安に駆り立てられていた。
もう、どうしようもないほどに。
そもそも緻密な根回しは、ペリペの最も得意とするところだった。
王の重臣たちの力関係は知り尽くしている、弱みもだ。
重臣全員が、「この議題」に賛同の意を示すよう仕向けるなど、ペリペにとって、さほど難しいことではなかった。
これまでもペリペは、「これ」よりももっと議論の分かれる話を、幾度もまとめ上げてきたのだ。
それにそもそも、この話には「反論の余地」というものは、ほぼ存在しない。
――王の結婚。
それを政として最大限に利用しようとするならば、この国においては他国の姫を娶るというのが、相当に効果的である。
その点においては、誰の異論もないはずだ。
けれども、そのような縁組に際しては、それが引き起こしうる益と害についての綿密な調べが必要となろう。そして、そのためには時間も要る。
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