冬至 III 7

1/1
前へ
/61ページ
次へ

冬至 III 7

7  冬至の宵。  王に犯しつくされ、精根尽き果てて。  寝台の傍に立ち尽くしたまま、ペリペは、ただじっと見つめていた。  王が妹姫を抱きすくめ、倒れこむように床へと横たわるのを。  どうしたことか異形は、その声を取り戻していた。  そして、魔法使いだの奇跡だのと、ただただ世迷いごとを口にし続ける。  そんな妹の髪にやさしく口づけを落としながら、王は目を閉じる。  可愛い妹よ、共に眠ろうと。  異形の姫をそう宥め諭す王の声は、ひどく気怠い色を帯びていた。  だが妹姫は、白い腕を脚を王の身体に絡みつかせ、絶え間なく甘やかに囁き続ける。  王が寝息を立て始めた。  そのくちびるに、瞼に。  刀身のように真っ直ぐな鼻筋に、王妹のくちびるが押し当てられる。  おにいさま、わたしを見て。  どうぞお目をお開け下さい。  繰り返す異形の声は、寄せては返す波音にも似て部屋に響く。  しかし、それもやがて夢のごとく遠のき。  異形の姫もまた、子犬のように王の首筋に鼻先を擦り付けると眠りに落ちた。  どれほどの間、眠るふたりを眺めていただろう。  ただじっと、立ち尽くしていたペリペの身体が、ゆらりと動いた。  ペリペの頑丈な腕が、王の身体から異形の姫を引きはがす。  王妹の身体は、ペリペが前に見た時とは、まるで違う姿をしていた。  細く華奢なままではあったが、腰はなだらかな曲線を描き、両胸にはまるい乳房が揺れていた。  ペリペは王妹の足を押し開く。  何もないはずだったその部分には、秘所を覆い隠すごく淡い茂みがあった。  果てしなく王に犯され続け、弱り果てていたペリペの身体も、いまではもう、力を取り戻しつつあった。  いつしかペリペの男陽にも、ふたたび力がみなぎり始める。  そして、その滾りきった己自身で、ペリペは王妹を貫いた。  見る者は誰もいない。  王は眠っている。  妹姫もまた、眠り続けていた。  太陽は正午近くまで昇らない。  王の言うとおり、夜は終わらない。  ペリペは狂った獣の激しさで、王妹へと腰を打ち付ける。  その完璧な女の身体へと。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加