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冬至 III 10
10
冬至の狂宴の後、国中は、まだ死んだように眠り続けている。
ペリペはひそやかに、王の寝所から王妹の骸を持ち出した。
城を熟知しているペリペは、二階の東端に放矢と投石のため、ちいさく穿たれた場所があることを知っていた。
異形の姫を肩に負い、狭く低い廊下を歩いて、ペリペはそこへと辿り着く。
つい先までは、たしかに女の身体をしていたはずだった。
だが今、王妹の身体は、かつてのような男でも女でもない人ならぬ妖しさを備えたあの姿へと戻っていた。
その骸を薄布一枚で包むと、ペリペは雪の上へと投げ落とした。
降り積もっていた雪が、すべての音を吸い込んでいく。
山肌に茂る、ところどころ雪を被った蒼い木々だけが、ペリペの行いを見つめていた。
*
大陸の端。
北西に連なる山々の谷間にあった小国は、その後、しばらくの間は銀鉱を維持し、強国の狭間において独立を保った。
(了)
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