とけずにつもる

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「やっと繋がった。どこにいるんよ」 「ごめん、今向かってるよ」 「なら連絡くらいしなさいよ。あけましておめでとう」 「あけましておめでとうございます」 「今年もよろしく」 「それはどうかな」 「なんでだよ」 「ふふふ。もう初詣しちゃったよね」 「待ってるに決まってるでしょ。せっかく早く来たのにまったく」 「ごめんごめん。すぐ着くから」 「鳥居んところで待ってる」 「はーい」  まばらな人の流れに乗って、神社を目指す。空を見上げる気にはなれなかった。  みんなと合流して平謝り。長くはない列に加わって、順番を待つ。友達との会話なのに、知らない人と話しているように思えて、知らず胸を撫でていた。  お詣りする気が起きなかったけど、財布の小銭を適当に入れた。隣に並ぶ真剣な顔を見て、みんなの願いが叶えばいいなって思った。  日本酒が配られていたのでちびちびと飲む。お神酒だ!ってはしゃぐ友達が、ありがたみをまるで感じない飲み方をして、おかわりまでもらいに行こうとするのをみんなで止める。半分本気だったことに、少し呆れた。  冷たいのに、体の内側は熱に侵されてる。吐き出した息は、一番白く感じた。  視線で追いかけていると、冷たい物が頬に触れる。目を見開いたけれど、それは雨、いいや、これは、みぞれかな。  こんなもんだよねって、苦笑い。  雨降ってきた! って必要以上に騒いで、ふざけながら走り出す。  胸の熱が、上がってこないように。      了
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