一秒でも早く!(青木宏介)

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オレと祥子が部屋の中で、片っ端から机や棚や小物の陰を探っている最中に、時折、北上学園の生徒の悲鳴が聞こえてきた。 その悲鳴は死への恐怖で満ちていて、その恐怖はオレと祥子にも伝染してきた。 オレたちは今日、初めて人間が殺されるその瞬間を目にした。 人間が死ぬことって、残酷でグロテスクで呆気ない出来事だ。 木下ピエロのおもちゃとして扱われているオレたちの命は、ゴミクズみたいに軽くて、儚い。 だけどオレは生きることをあきらめない。 オレは生きて、この最悪の施設から逃げ出すんだ。
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