一秒でも早く!(青木宏介)

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「祥子、こっちだ!」 オレはそう叫び、祥子の手を強く握った。 とりあえず、一番近くの部屋に逃げ込もう。 そしてオレたちは固くドアを閉ざして……。 全力で走りながら、振り返ると、狂犬グルーミーはものすごい速さで、オレたちを追ってきていた。 「祥子、この部屋に逃げるぞ! 部屋に逃げ込んだら、ドアを固く閉ざすんだ」 オレたちは部屋の中に逃げ込み、部屋の中にあった机や棚をドアの前に押し込んだ。 これでドアは開かないはずだった。 普通ならば……。 オレたちがドアを固く閉ざし、一息ついた次の瞬間、狂犬グルーミーが強くドアに体当たりをしてきた。 ドンという大きな音とともに、頑丈なはずの木製のドアが歪んだ。 そして狂犬グルーミーは何度もドアに体当たりを繰り返した。 すると、頑丈なはずの木製のドアは少しずつ壊れ始め、この部屋の中にやがて狂犬グルーミーが入ってくることがオレにも想像できた。 狂犬グルーミーがこの部屋に入ってきたら、オレたちに逃げ場はない。 そのとき、オレたちには確実な死が訪れる。
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