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狂犬グルーミーが今にも部屋の中に入ってきそうな状況の中、オレと祥子は必死になって秘密の階段のスイッチを探していた。
狂犬グルーミーにこの部屋のドアを破られるまで、どれくらいの時間の猶予があるかはわからない。
ただオレたちは、一分一秒を惜しんで、祈るような気持ちで秘密の階段のスイッチを探していた。
〈 私ね、ちゃんと恋愛をしたこともなかったんだよ。
好きな人に、まだ好きって言えてなかったんだよ 〉
震えながら祥子がオレに言った言葉が頭をよぎった。
〈 今まで言えなかったけど、私、宏介が好きだったんだぁ 〉
死んでしまったら、人の思いは消えてなくなる。
祥子が持っていた夢は、祥子の意思が消滅するのと同時に、どこかに霧散してしまう。
人の命って、いったいなんだろう。
人は何のために生きているんだろう。
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