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「俺の頭にあった問題が、あれを見て一気に繋がったんだ」
「どう、繋がったんです?」
「品質会議のときはあえて説明しなかったが、聞く準備はいいか?」
「異物が入っているのは溶剤だと思ってましたが、違うんですか?」
「違う。それならあの対策はあまり意味がない」
「あ、そうか」
「あのフクレの中身は溶剤だ」
「はい?」
「犯人は溶剤だ。大事なことなので2回言ったぞ」
「犯人はわかっていますが、溶剤の中のなんですか?」
「溶剤の中の人などいない」
「いや、そういう話じゃなくて」
「溶剤が多いとどうなる?」
「乾燥しにくくなりますね」
「そう。材料の中に残るだろ」
「でも、それはあり得ません」
「ふっふっふ。どうしてだ?」
「なんですか、その不気味な笑いは」
「そう言うと思ったからな。俺もずっとそう思っていた。だからメカニズムが大切なんだ」
「あの材料は120度で30分間乾燥させたあと、1,600度で焼成するんですよ? 沸点が低い溶剤なんか残るはずがないでしょう」
「じゃあ、なんで乾燥なんて工程を入れてあるんだ?」
「え? そ、それは……知りません。技術が設定した工程なんで」
「それを思考停止って言うんだぞ。しかし、技術だってそれを知っているくせに思いつかないんだから、罪は同じだがな」
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