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「どれだけ希釈したのかというデータは残っていません。だれも希釈することによって材料の品質が変わるとは思っていなかったからです。それがブラックボックスだったのです」
「そこで現在ある在庫をサンプリングして、ロットごとに希釈量を測定しました。そして不良の発生率との相関図を描くと」
僕はそこで画面を切り替えるフリをして少しもったいつけ、次のグラフを表示させる。エクセルで作成してパワーポイントに落とし込んだ相関図だ。
予想した通り、おぉーというため息間混じりの声が上がった。縦軸に不良率、横軸に希釈量をとった相関図は、見事に右上がりの直線を描いている。
これは希釈量の増加に応じて不良率が高くなっていることを示している。
統計的には、これを相関関係にあると言う。
余談であるが、相関図の場合は必ず横軸に説明変数、縦軸に特性値となるようにしなければならない。この場合は、希釈量が説明変数で不良率が特性値である。
「この通りきれいな直線になりました。相関係数は0.92。相関係数の検定結果でも1%で有意と判定されました。この不良は間違いなく入れすぎた希釈剤の影響を受けています」
相関係数とは2つの特性値に関連があるかどうかを示す指標で、1が最高値となる。有意差検定に関しては別の機会に。
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