第1話 式見優(しきみゆう)は派遣社員

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 もちろんこれは、改善をした工程が1ヶ月程度でなくなったりはしないという条件下での話である。  最近の商品はライフサイクルが短い。10年続く商品は珍しいだろう。だが主力商品なら5年でなくなるということもそんなにはない。だいたい7,8年は量産が続くのが普通だろう。  改善の効果金額は量産が続く限り――少なくとも5年ぐらいは――積算されてゆく。すると1年目の年収はどうなるだろう。毎月10万円ずつ増えてゆくのだから、  10+20+30+40+50+60+70+80+90+100+110+120=780万円である。  ほどほどの年収になったな、と思った人も自分の頭の中を疑っていただきたい。  よく考えてみよう。1年で終わるわけではないのだ。少なくとも5年は続くと先に書いた。  12ヶ月後には僕の「月収」は120万円にもなっている。2年目は月収130万円からスタートするのだ。つまり2年目の年収は、  130+140+150+160+170+180+190+200+210+220+230+240=2,220万円 である。  たった10%のインセンティブでこれだけの金額になる。改善は、そのぐらい恐ろしいほどの利益を産むのだ。     
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