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モノローグ3
紅の愛車であるBMW、真っ赤なアクティブハイブリッド7は一度ファミリーレストランへ寄って、三人で食事を済ませた後、新宿のとあるマンションへと向かった。
ターゲット、天草組幹部小島満は主に都内でマンション麻雀を経営し、高額な場代で天草組の懐を潤している人物で、日によって場を立てるマンションはアトランダムに変更するらしいのだが、今日はそのマンションで場を立て裏に控えているという情報だったのだ。
護衛の構成員は数人侍らせているらしいが、特別な警備体制ではないらしい。それは先日の天草恭介組長就任の儀で、彼自身から全幹部に《これまで通り資金を調達するべし。これまで通りの忠誠を期待する》とのお達しがあったためであろう。
つまり彼ら、始めから武田康則側にいた幹部にしてみれば、裏切りがばれるよりも早く片が付いたのだ、と思える采配であったのだ。
故の通常営業。小島満は博打場の奥の部屋でどっしり構えている、ということなのである。
そして紅の考えた作戦――作戦と言う程たいそれたモノではないが、まずは麻雀を打て、そしてイカサマをしろ、と守は命を受けた。
どうも今時珍しい、手積の麻雀卓を使用し場を設けているそうで、つまり客はほとんど勝てないようになっている。客の中には必ず一人、組の構成員が混じっており、そいつは案の定麻雀の達人で、イカサマの達人なのである。その実力と技術、そして裏で通じている店員の通し(相手の待ち牌をサインで教えてしまう)でほぼほぼ一人勝ちは確定。常客は潰さない程度に勝たせたりもするらしいが、結局、最終的には店が丸儲けする仕組みなのだ。
もちろん、そんな体制だからこそ客のイカサマを見破るのも早い。イカサマをした客には、即座に奥の部屋で拷問の苦しみが待っているのだ。逆にそういった拷問制度を金持ち客には吹聴しているからこそ、手積麻雀を愛する輩が安心して打てる、という逆の心理も働いている故、意外にも客は途絶えないのである。
因みに、麻雀好きの金持ちには手積にこだわりをもっている者が少なからずいるのだ。洗牌(牌をかき混ぜる)の音は昔から縁起が良いとされているからだろう。
ともあれ、そしてこの拷問に小島満の特徴が顕著に表れている。
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