第一話 終わりと始まり

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 世界が消滅して数日、数日前まであった建物も、今では消えて平地と化していた。  殺風景の平地に倒れている者が意識を取り戻すと、ゆっくりと体を起こした。全身火傷を負った者の顔からは男女を区別出来ないが、ふっくらとした胸からは、その者が女として見ることが出来る。 「……ここは……」  見慣れた景色とは一変していることに恐怖を抱く。すると暫くして、意識が無くなる前の出来事を、スルトという何かの言葉を思い出す。 「世界を……創る……」  戸惑いながらもフラフラと歩き出し始める。突然、片足に衝撃が走り、前のめりに倒れる女。振り返ると、十五センチほどしかない身長の男が立っている。男は黒いマントで身を覆い、そのマントは辺りと一体化しているため、見渡した時に姿を見付けることが出来なかった。 「……スルト?」  ふと、頭に浮かんだ名前を口にするが、その男がスルトではないことは瞬時に分かった。記憶にあるのは、轟々とした炎で身を覆う、剣を持った人物だ。だいたい、小さすぎる。 「スルトを知っているのか?」 「水……水を……」  返答よりも先に水を要求する女を無視し、男は急に走り出した。その様子を目で追っていくと、少し離れた所で身を伏せ、そこに何もないというほどに殺風景と一体化させた。 「水……」 「黙れ、巨人!」  遠くから、地形が波打つように蠢く光景が見える。それを見つめていると、それが先程の男のようにマントを羽織った小人達だと気付いた。 「逃げろ! 殺されるぞ!」  その大群を前に、男は必死に呼び掛けるが、女はピクリとも動こうとはしない。むしろ、その大群に向かってフラフラと歩き出した。  互いにある程度の距離を取ると、動きを止め様子を窺う。なにやら小人達は、小さな突起物を槍の代わりとして女に向けている。 「水を……ください」 「貴様のような者にはやらん! 憎き巨人族め!」  どうしてか、女に敵意を剥き出しにして、今にも攻撃を仕掛けて来そうな雰囲気を漂わせる。  女が頭を下げると、緊張の糸を張っていた小人は、それを攻撃と勘違いし一斉に槍を投げる。その痛みから体勢を崩し尻餅を付く女。 「槍を拾って、突き刺せぇー!!」  それを機とし、一斉に飛び掛かり襲い掛かる。 「痛い! やめてぇ!!」
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