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第1章
ぼくらのそばにはいつもスーパーヒーローがいた。
どんなピンチにでも彼らは現れ、いつでもぼくらを救ってくれた。
たとえ悪が栄えても、スーパーヒーローは仲間を連れて、パワーアップして帰ってきた。
さらに上まわる悪が現れても、スーパーヒーローはそのまた上をいく仲間を連れてぼくらを守ってくれた。
さらに上のそのまたさらに上の悪が現れてもスーパーヒーローたちはそれぞれの仲間を引き連れて打ち倒してくれた。
スーパーヒーローがスーパーヒーローを呼び、そのまた仲間たちがスーパーヒーロー仲間を呼び寄せてスーパーヒーロー軍団を結成して、悪をとことんこらしめた。
平和な日々が訪れたとはいえ、いつまた悪が栄えるかわからない。予防のために、スーパーヒーローたちは集まり続けた。
やがて地球はスーパーヒーローだらけになった。
ごく平凡な人間の家庭に育ったぼくは、それだけでもうどうしようもなく過保護だと思われているにちがいない。そんなことを思っている人がまわりにいればの話だけど。ぼくの知る限り、人のことをとやかく言うプレーンなヒト科のご近所さんというものが、この辺りには存在しない。
とにかく悪の息吹にさらされぬよう、ぼくらは常にスーパーヒーローたちによって保護されている。
まず、家の周囲を守衛戦隊ガードマンが守っている。
ぼくが登校するときはガードイエローがついてくれる。ぼくとしては三枚目のイメージのあるイエローよりも、リーダーのガードレッドかクールなガードブルーがいいのだが、レッドはお父さん専属でブルーはお兄ちゃん担当なので文句はいえない。そんなお父さんもガードピンクを希望しているのだが、そこはお母さんが許さず、仕方なくガードレッドの世話になっている。
交差点にさしかかると、信号戦隊シグナル3が大胆な手旗信号でにらみをきかせ、横断歩道のそばではトラフィックマンが腕組みをしてほほ笑んでいる。ガードレールマンはたくましい肉体が浮き出た白のボディスーツに身を包み、一族総出で道路脇につらなっている。
道を行き交うのはド派手なヒーロー仕様のマシンたちで、車検をとおったのかどうなのかでしょっちゅうポリスマンともめている。
学校に到着すると、ぼくの身柄はガードイエローからティーチウーマンに引き渡される。
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