三河争奪戦

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  のちに岩松八弥は織田方の佐久間九郎左衛門によって送り込まれた者と判明する 佐久間九郎左衛門とは三河西広瀬城主で松平家と対立していた武将だ すぐにでも報復に攻めたいがそれが出来ずにいた 何故なら広忠は八弥の襲撃に一命を取り留めたものの傷は深く体力が著しく衰え肺も患わせてしまっていたからだ ゴホゴホと辛そうな咳をしながら床に伏せっている広忠の横には植村新六郎がいた 「新六郎…此度の働き見事である。父の時もお主が不忠者の正豊を成敗してくれた。まこと感謝しておるぞ、お主程忠義に厚い者はおらぬ」 「いえ…本来ならこの身を挺して殿をお守りせねばならぬのに、先代の清康様の時もお守りしきれず…私の不徳の致すところでまことに申し訳なく思います」 「ゴホ、ゴホ…何を言うか…お主がおらねば儂は今、生きてはおらぬわ…お主はよくやってくれた…ゴホ、ゴホ」 広忠は辛そうに咳き込む 「すまぬな…体が回復したならたんと褒美をとらせる故、楽しみにしておれ…」 そう言うと広忠は植村新六郎を下がらせ眠りにつく そして暫く時が流れても広忠は二度と目を開ける事は無かった 広忠の死に松平家臣団は大いに動揺する 当然の事だ。当主が死に嫡男の竹千代は敵方の織田に囚われているのだ。 広忠に世継ぎとなる男子は竹千代しかいなく、このままでは松平家は滅亡ということになるからだ 松平家臣団が動揺しているとき、満を持して義元は黒衣の宰相、太原崇孚雪斎に命じる 「三河を我が手に収めよ!」
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