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「ははぁ!」
義元から命を受けた雪斎の動きは早く、広忠が横死した三月中に軍勢二万程を率いて三河の岡崎城に入る
大軍を編成し三河岡崎城に入った雪斎は主殿の広間に案内されると、そこには松平家家臣団が座り深々と頭を下げ雪斎を迎え入れる
「ご苦労」
そういうと雪斎は広間の上座へと進み踵を返し家臣団を見下ろし、その場に座る
その姿はまるで松平家家臣団の主かのようだった
「おぬし達はこれから如何にする気か?まさかとは思うが織田に付く気ではあるまいな」
雪斎の言葉に松平家家臣団の一人本多忠高は額を床に付け必死に異議を唱える
「そのような事は決してございません!」
「ならば何故動かん!広忠殿は織田の手の者によって討たれたと言うではないか!!主を卑怯な手段で討たれて悔しくはないのか!!」
厳しい口調で叱責する雪斎に本多忠高は悔し涙を床にこぼしながら答える
「この上なく口惜しく織田の者達を八つ裂きにしたい程です!しかし…広忠様を失った我らに何が出来ましょうか?下手に動けば広忠様の御嫡子、竹千代様は如何になりましょうや…」
本多忠高は声を震わせ言葉を続けられないでいた。
そんな本多忠高に雪斎は問う
「竹千代を救いたいか?」
「もちろんでございます…しかし我らには如何にすればよいかわかりませぬ…」
「儂に妙案がある」
雪斎の言葉に驚き顔を上げる本多忠高と家臣団
「それは如何なる案でございましょうや!」
「よし、では我が策を説明する」
そう言うと地図を出し家臣団に説明を始める
「安祥城を落とす」
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