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笑顔の裏で策略は巡る
時は戦国、天文7年駿河の国
今川家11代当主今川義元が拠点駿府館にて、この義元の嫡子龍王丸が産声をあげる
恵比寿のようにニコニコと満面の笑顔で龍王丸を抱きかかえ喜び幸せそうな義元
「ホッホッホ、可愛いのぉなんて美しい眼じゃ泣き声も凛として心地よい」
義元はその白く塗られた顔を定恵院に向けると
「でかしたぞ、お恵!良き男の子を産んでくれた!」
「義元様のお役になれて恵は嬉しゅうございます」
そう言うと定恵院は深々と頭を前に下げ三つ指をつく
すると隣にいた寿桂尼は定恵院を起こし
「これこれ、子を産んで間もない体ではまだ身体も重かろうて無理をするでない」
優しくそう笑いかけ定恵院を労う
龍王丸こと、のちの氏真は皆に望まれてこの世に誕生しそれはそれは大事に可愛がられすくすくと幸せに育っていく
成人した後に待ち構えている己が人生を知らずに…
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