笑顔の裏で策略は巡る

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  10歳の時、龍王丸は駿府館の広く美しい庭で数名のお付きと義元で円になり蹴鞠を楽しんでいた すると、小姓が義元にかけより片膝をつくと大声で報告する 「ただ今、雪斎様より伝令の使者が参られ織田勢と小豆坂にて合戦し見事打ち破り織田勢は安祥城に敗走させたとのことです!」 「ふむ、流石は雪斎よ頼もしいかぎりよの」 義元がそう言うと蹴鞠をしていた付き人皆が片膝をつき祝いの言葉を捧げる おめでとうございます!! 小姓やお付きの者達が頭を下げていると龍王丸は鞠を両手に抱えながら義元のそばによる 「おめでとうございます、父上」 「うむ、めでたいことじゃ!龍王丸!」 義元は龍王丸を両手で持ち上げ空に掲げるとその場をクルクルと回り笑顔を見せ龍王丸もキャッキャと楽しんでいた 笑顔で戯れる仲睦ましい親子は見ているだけで心が和むもので小姓や付き人はその場に居合わせられた事に幸せを感じる程だ 義元は龍王丸を胸に抱きかかえると館の中に入る 「酒じゃ、旨酒をもてい!ホッホッホ!祝いじゃ祝いの酒じゃ!」 天文17年この時、今川家は三河の覇権を巡って尾張の織田家と争っていた 建前上は三河の松平広忠の援軍として軍勢を進めているがその本意は松平家を懐柔し三河を今川家の領土とすることだった
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