笑顔の裏で策略は巡る

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  「雪斎、それさえ証明出来れば後は安祥城の織田信広だ」 「心得ております。必ずや安祥城を攻略し信広を捕らえて見せます。」 「そういう事ですか、そち達の考えがわかりました。織田信秀の息子の信広を使い奪われた質…広忠の子、竹千代を取り戻すのじゃな」 「 そうです、織田に嫡男を奪われ更に再び織田の策略で当主を殺されたとあれば松平の家臣達の織田に対する恨みは余程のもの… 」 続いて雪斎 「 そこに我らが安祥城を奪還し竹千代を取り戻せば…松平の家臣達は今川家に恩を感じ服従致しましょう 」 「そうですね、それならば今川が竹千代を人質に広忠を従わせるよりも三河の平定はより確かなものになるということですね…」 「はい、広忠殿には可哀相ですがこれも乱世…」 龍王丸には見せたことがない顔で三人は策略を巡らせ続ける 義元の要求で竹千代(のちの徳川家康)は元々今川家の人質となるはずだったが護送役である戸田康光は駿府ではなく尾張に竹千代を連れていき千貫文で織田信秀に売り渡したのだった これにより織田信秀は味方になれ、でなければ竹千代を殺すと松平広忠に再三脅しをかけるが広忠は信秀の要求を拒否し続ける 織田家に竹千代を誘拐されても織田信秀の脅しに屈せず要求を断るのは今川家に対する臣従の証しのためであったが… 元々今川が竹千代を人質に取り広忠を臣従させんとしていた事から逆に義元に疑念を抱かせる事になった つまり、松平家を今川家に取り込んだとしても広忠しだいでいつでも裏切る可能性があり、それを抑制するための人質は意味をなさないと義元には見えたのだ
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