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「パパなんか大っ嫌い……」
テレビに映る父親はぶくぶく太って、カメラのフラッシュに光るすっかり薄くなった頭も、見ていて腹が立つくらいみっともない。
もうちょっと痩せていて、まだ髪もふさふさだったころはもっと……。
美百合は、自宅に置いてきたはずの感傷がつい甦ってきそうになり、頭を激しく振ってそれを否定した。
「パパなんか大っ嫌い」
自分に言い聞かせるように、もう一度つぶやく。
そのまま、ただ胎児のようにうずくまって、一睡もすることなく朝を迎えた。
何も考えられないまま、ただ膝を抱えてうずくまっていた。
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