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この無謀な我慢比べは、最初から美百合に勝ち目なんかない。
そもそも龍一の生理現象は一体どうなっているのか。
そんな疑問を抱くほど、龍一はいつうかがってもドアの外に立っていた。
龍一ぐらいになると、もしかして生理現象なんぞは無縁の話なのかと、二次元キャラに抱くような幻想を、美百合は一瞬まじめに信じかけたぐらいだ。
やがて、白旗を掲げるしかなくなった美百合は、せめてもの抵抗にテレビをつけて、ボリュームを不自然にならない程度にあげて……。
それでも人間の尊厳というか、女子のプライドというか、そういったもろもろの感情を、すべてゴミ箱に投げ捨てるぐらいの覚悟で、ようやく人間らしいひと心地をつけた。
「まったく、なんで私がこんな目にあうのよ!」
いささかキレ気味にテレビをつけた部屋に戻ると、また昨夜と同じ迫田博文のニュースが、繰り返して報道されていた。
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