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美百合が我にかえったときは、部屋はちょっと信じられない有様だった。
むしょうに可笑しくなって、何故だか美百合はクックッと笑う。
笑っているのに涙が出てきた。
自分の感情なのに、うまくコントロール出来ない。
ふらふらとした足取りで玄関まで歩き、ドアを開けた。
「いつまで、そこでそうしてる気? いい加減にしてよ!」
今度は怒りだ。
「……ごめん」
やっぱりそこにいた龍一は、美百合の剣幕に素直にそう謝った。
美百合が表現したかった感情は怒りのはずなのに、何故だか泣きたくなってきて困る。
自分の心が今どんな回路を組んでいるのか、自分のことなのに、さっぱりわからない。
「入れば?」
混乱したまま龍一を誘った。
この美しい龍一に、あのグチャグチャの部屋を見せつけて、腹の底から軽蔑されてしまいたかった。
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