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美百合の行動はまだ終わらない。
バックヤードにとってかえすと、パラパラとレコードを選ぶ。
それまでかかっていた夜の余韻を楽しむ、ショパンのノクターン第2番変ホ長調から針をおろして、今朝はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調をかける。
「あらあら、朝からこんな濃いのかけるの?」
オーナーは困ったように苦笑するけれど、かまうもんか。
あの人は音楽には難しいんだ。
繊細で優美な旋律は、あの人にぴったりだ。
たとえ朝からちょっぴり濃厚すぎて、私の頭が痛くなったとしても、全然かまうものか。
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