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甘やかに翻弄されながら、美百合は自分が龍一よりも龍一を愛していることを知った。
この男になら、もう何をされても許してしまうだろうと屈従する気持ち。
実の親にさえ素直に従おうとしなかった美百合にとって、それはもう人生が激変するような感情だ。
だったら、この悪夢のような、だけど甘美すぎる気持ちに、正直に生きてみよう。
美百合は決めた。
龍一がたとえ非道な殺し屋だったとしても、美百合も一緒に同じ道を歩こう。
この砕けた心を持つ殺し屋に寄り添って、一緒に堕ちていこう。
そんな風に決心したら、後はもう、すべてを龍一に委ねて、求められるままに指を噛み、ただ感じるままに声をあげるだけ……。
せめて美百合の噛む指の痛みが、少しでも龍一の心を慰めてくれることを祈りながら。
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