Fri.

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いきなり、頭のてっぺんの髪をわしづかみにされた。 痛みで思わず目を閉じると、信也の腕に引きずられるようにして身体がぶつかる。 美百合の耳に、気持ちの悪い生温かい息が吹きかけられた。 「お前も、おとなしく俺にやらせろ」 全身にサブイボがたつほどの気持ち悪さで、加えて、仰向かせられた首筋にネッチョリとした何かが絡みついてくる。 思わず、悲鳴をあげそうになるのを、プライドだけで堪えた。 こんなやつに、弱みなんか見せたくない。 だけど、ペチャペチャと怖気のたつような音をたてて、美百合の喉を這いまわる信也の舌は、風呂場に出るナメクジの方が、まだ100万倍かわいく思える気持ちの悪さだ。 堪えようとしても、滲んでくる自分の涙が、何より悔しい。 美百合がこんな目にあわされているというのに、いったい龍一は何をしているのか。 ミッション・インポッシブルにこんなシーンはないはずだ。 助けるんなら、早く助けろ!
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