Fri.

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そう怒鳴りつけてやろうと思ったら、 「お前しゃべれねーのか? 何か言えよ。俺の言った事、わかったのか? わかってねーのか?」 信也に先を越された。 しかも龍一は、そんな信也に向かって、 「わかった」 とシレッと答えたのだ。 なんですって! とたん、美百合の堪忍袋の緒が切れる。 圧倒的な力の差だとか、銃を突きつけられているだとか、そんな現実が頭の中から吹っ飛んだ。 「バカ! 腰抜け!  なんで私がこんなヤツとセックスしなきゃなんないのよ!  ボケっとしてないで助けろ! りゅういちぃぃぃぃ!」 尾を引くように声が延びたのは、美百合の身体が信也の肩に担がれて、部屋から連れ出されてしまったからだ。 目の端に、顔色ひとつ変えずに突っ立つ龍一の姿が一瞬うつって、 そして書斎のドアに阻まれて見えなくなった。
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