Fri.

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「クソアマ!」 決死の勢いでわめき続ける美百合の抵抗に、ついに信也の本性が姿をあらわした。 その右手を振り上げて、美百合を暴力で屈服させようとした。 やれるもんなら、やってみろ! 美百合は負けるものかと睨み返す。 大好きな人から愛を受けた私なら、きっと強い!  絶対、負けてなんかやらない! ところが、信也がピクリと動きを止めた。 振り上げた手もそのままに、入り口のドアを振り返る。 「坊ちゃん、彼女に嫌われちゃったかな!?」 おやおやと、肩でもすくめそうな余裕の表情で、龍一がそこに立っていた。 「てめぇ、何で……?」 信也の問いかけも終わらない間に、龍一は矢のように飛んでくると、信也の頬を殴りつけた。 ぐえっとカエルがつぶれるような声を出して、美百合に圧し掛かり倒れてくる信也の身体。 指一本でも怖気が走るのに、こんなに全身べっちょり密着だなんて、勘弁してほしい! 「やだ、キモい、ほんと無理」 ついつい喚いてしまいながら、全力でその身体を押しのけると、あまり抵抗もなくグラリと浮いた。 美百合は這いずるようにして、その身体の下から脱出した。
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