Sat.

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美百合たちが連れてこられたのは飛行場だった。 美百合が知っているような、夜中でもライトが煌々と灯され、ジャンボジェットが飛び交う大きな飛行場ではないが、それでも滑走路がちゃんとあり、管制塔らしき建物には灯りがついている。 当然、ターミナルも搭乗口もない中を、龍一はプロペラをまわすセスナ機に向かって、敷地内を颯爽とした足取りで歩いていく。 足が短い美百合の父親なんか、ついていくのに倍ほどの回転を必要としているし、当然、美百合だって似たようなものだけれど、 あんな大福が転がるみたいな走り方はしないぞと、必死にスライドを広げて、龍一の背中について走る。 あの飛行機に乗せられるのだと、すでに理解していた。 美百合にだってこれまでの生活がある。 懸命に勉強して入学した大学生活や、良くしてくれたバイト先のカフェのオーナーにも一言の挨拶もなしだ。 だけど、龍一がそうしろというのなら、それは必要なことなのだ。 説明もなにもないけれど、龍一が美百合のためにならないことをするわけがない。 美百合が持っているのは、龍一への絶対的な信頼だけ。
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