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お年玉というのは、元来は今年に選ばれた年神様から、人間が魂を分けて貰うことを言うのだそうだ。ちなみに、鏡餅やしめ飾りや初詣も、全部年神様に関係しているんだって。へ~、知らんかったわー。
で、今から日本全国に分け与えようとしていた魂の塊を、私が一人でペロッと食べちゃったんだって。てんで実感がないんだけど。
「あなたは女神になる御つもりか?」
「へ? 私が女神に? 容姿についてなら既に女神ってるけど……」
たぶん、そういうこっちゃないよね?
「そういうこっちゃない! 本物の女神になりたいのかと聞いているんだ!」
「私、女神になるの?」
「……なる。俺の魂の半分を喰らったんだ、それ相応の力を得るのが神の理り」
神の理り言われても知らないし。
そうこう話している間に、私の体が拳一個分くらい浮いた!
「わわっ!? ど、どうすればいいの!?」
「俺の代わりに全国津々浦々を巡り、魂を少しずつ人間に分け与えていくのが最善だがーー」
「別の方法が知りたいです!」
この緊迫した状況下で諦めが早いな、と呆れられた気がしたけどスルーする。
「あまりお勧めしたくないが……神の魂は他の神力と交換ーーつまりあなたが手にした俺のお年玉で買うことができる」
「私の中の神の魂を使って、神力ってのを買えばいいのね!?」
「まあそうなのだが……」
「なによ、歯切れが悪いわね。そうすれば私は女神にならずに済むんでしょ?」
「ああ、理屈ではそうだが……」
なにやら私の背中が輝きだした。これが後光というやつか! って冷静に突っ込んでる場合じゃないわよバカ! 一刻も早く神の魂を出さないと、ほんとうに女神になってしまう!
「急いで急いで、時間がない!!」
「うむ、そのようだな。では、今から俺が言ったものを買うのだ」
「買います! 是非とも買わせていただきます!! 」
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