こたつ恋

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「若菜ぁ、まだぁ?」  真四角の小さなこたつに当たっている私と彼は、向い合わせではなく、一角を挟んだ隣り合う二辺にそれぞれ座っている。  今度、勤務先の病院で初めて献立を任されることになった為、私はあれこれ眺めながらメニューを考えているところだった。  わざわざ恋人の家でやることではないのだけれど、せっかく休みの日なのに会えないのは淋しいと彼に散々言われ、うちで仕事すればいいじゃんという言葉に乗ってノコノコやって来てしまったのだった。 「…あーちゃん、お皿片付けておいで?」  私が作った簡単な昼食を完食した彼の手元をちらっと見て提言する。 「はーい。ご馳走さまでした!」  素直に、お皿を運んでいく彼。  すぐに帰ってこず台所でガチャガチャ聞こえるので、食器を洗ってくれているようだ。  しばらくして部屋に戻ってきた彼に、顔を向けた。笑顔も忘れず添える。 「お皿、エライね」 「若菜のはもう洗ってあったじゃん。自分の分、洗っただけだよ、俺」 「ん。お疲れ様」  小まめな声掛けが大切だ。  彼は、何かと言うとすぐ拗ねて、私からの愛情を試すような面倒臭いところがある。  彼を恋人として認識していないわけではないし、当然大好きなんだけれど、それを彼が納得する程度に言動として表出しなければならないのだ。
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